千紘さんのありがた~いお話

 は、話しかけようかな? どうしようかな? と迷う。

 仕事中だからというより、夫なのに、家でも何処でも、話しかけるとき、ちょっと緊張するというか。

 あの冷たささえ感じる鋭い視線のせいだろうか。

 戸籍上のこととはいえ、夫婦なのに、ものすごい距離を取られている感じがある、と思ったとき、倉庫の陰にもうひとり居るのに気がついた。

 可愛らしい女子高生だ。

 なにかまずいシーンとか? と真昼はつい、気づかれないよう、息を止めて見つめてしまう。

 すると、女生徒が千紘に訊いた。

「あの、先生の奥さんってどんな人なんですか?」

 千紘は沈黙した。

 何故、そこで黙るんですか、千紘さんーっ、と拳を作る真昼の前で、千紘は少し迷って、

「……変わってる」
とだけ言った。

 お前が言うなーっ、と真昼は更に拳を強く握る。