千紘さんのありがた~いお話

 



「わー、雨、ひどくなりましたね」

 真昼が車の中から外を見ながら言う。

 自分は呑まずに、真昼に呑ませたので、ほろ酔いな真昼はご機嫌だ。

「帰りに、千紘さん、お酒買って帰りましょうよ。
 千紘さん、呑んでないから」
と言ってくれる。

 行きつけの酒屋は、まだ開いているはずだった。

 此処の酒屋のすすめてくれる酒は、どれもおいしい。

 ただ、お母さんと息子さんが推してくる酒が違っていて、二人ともが、
「こっちがおいしいですっ」
とそれぞれ推しの酒をすすめてくるので、迷ってしまうのが困りものだが――。