千紘さんのありがた~いお話

 



 次の日の夜、二人で食事に行くことになり、霧雨の降る中、真昼は千紘の車の助手席に乗った。

 少し椅子が下がりすぎていたので、前に出していると、千紘が、
「そういえば、助手席が動いてたな。
 誰か乗ったか」
と訊いてくる。

 千紘はいつも、荷物が動かないよう、席をかなり前に出しているのだ。

「ああ、龍平くんが乗りましたよ。
 送ってってあげたんです。

 昨日は、私、車だったので」
と言うと、

「門馬はお前の車の助手席に乗ったのかっ」
と何故か千紘は驚いている。

「はい。
 話してるうちに時間が遅くなって。

 なんだかんだでお世話になってる気がするので。

 由也くんも送ってあげると言ったんですが、近いからいいと言われて」

「……鈴木はケモノ的勘の良さがあるな」
と千紘は呟く。