千紘さんのありがた~いお話

 由也のそのセリフのせいで、真昼の頭の中では、コックコートのメロンパンが歩いて、山をこえている。

 ……日本語ってむずかしい、と思う真昼の後ろに並んだ龍平が、
「それにしても、真昼さんが、先生の奥さんだったとは」
と溜息をついた。

 由也が、
「ついにバレちゃったんですってねー。
 もうラーメンおごってもらえなくなっちゃいましたね」
と笑っている。

「まあ、気づくべきだったよ」
と龍平が深くうなずき、言ってきた。

「先生の奥さんが変わってるって聞いた時点で」

「いやいやいや、待って。
 なんでそこで私だってことになるのか、わかんないし。

 世の中、変わった奥さんなんて、きっと、いっぱい居るしっ」
と列の進み具合を気にして、前を振り返りながらも、真昼は反論したが、

「でも、よく考えたら、先生と一緒にこの町に現れたじゃん」
と龍平に言われる。

 ああ、まあ、そうか、と思っているうちに順番が来た。