千紘さんのありがた~いお話


 


「ち、千紘さん。
 なんでそんなところから覗いてるんですか」

 深く湯に身体を沈め、真昼は訴える。

「覗いてない」
と千紘はすりガラスの向こうから言ってきた。

 いや、確かに見てはいないのだろうが。

 そこに貴方が居ると思うだけで、ちょっと恥ずかしいんですが、と真昼が思っていると、

「いや、俺がゲームの余韻に打ち震えているのに、お前がひとりで平気で風呂に入って、平気で鼻歌を歌ってると思って。

 ちょっと脅かしてやろうと思ったんだが」
と千紘は言ってくる。

 ……心狭いな。

「でも、此処に来て、お前も怖いから歌ってるんだと気がついたんだ」

「なんでですか?」

「すごい勢いで髪洗って流してたからだ」

 な、なるほど。