千紘さんのありがた~いお話

 


 ああ、怖かった、と思いながら、真昼は風呂に浸かっていた。

 暖色系の風呂の灯りが、白い壁に反射して、お風呂の中は意外と明るい。

 さっきまで居たホラーな街とは大違いだ。

 温かいお湯に浸かり、ふう、と息を吐いた真昼は風呂のすりガラスのドアが、うっすら開いていることに気がついた。

 ええっ?

 なんで?

 閉めたのにっ。

 よく閉めてなかったのかな?

 それとも、風?

 いや、窓もないしっ、このユニットバスッ。

 閉め切っていなくて開いてしまっただけなのだろうが。

 わずかな隙間というのは、その狭い空間にいろいろと妄想の翼を広げさせる。

 真昼は、隙間から覗いている謎のおばあさんを思い浮かべながら、ひいーっ、と目を閉じ、手探りで、ドアを閉める。