千紘さんのありがた~いお話

 



 今日は真昼が先に風呂に入っていた。

 普段から、真昼が入ってるときは、できるだけ、風呂には近づかないようにしている。

 だが、テレビも消して、静かだと、シャワー音が聞こえてくるので落ち着かない。

 そうだ。

 やかましいゲームの音でかき消そう、と千紘はゲーム機のスイッチを入れてみた。

 ぎゃああああああっとテレビから、真昼の言うところの本気でない悲鳴が上がる。

 おどろおどろしいオープニングが始まり、そうだ、まだ、さっきのディスクを入れたままだった、と気づいた。

 門馬め、とスイッチを切る。

 ひとりだと怖いじゃないか。

 っていうか、風呂に入っている真昼のことを頭から追い払おうとしているのに、ゲームに怯えて、ぎゅっと腕を握ってきた真昼を思い出してしまうじゃないか。

 千紘は気分を変えようと、今度は、隅に積んである漫画を広げてみた。

 だが、それは、ベタばかりで、真っ黒なページが続くホラー漫画だった。

 ……門馬め。