千紘さんのありがた~いお話

 若さゆえの怖いもの知らずなのか?

 それとも、真昼に本気なのか?

 俺はヤクザではない。

 世間では聖職者だと言うこともある教師だが。

 真昼に手を出すのなら、いつでも、あのこの町自慢の美しい海に、お前をドラム缶に詰めて沈める用意はあるぞ、門馬、と思う千紘の前で、真昼は、おのれの左手を眺めながら言う。

「いやあ、どうかなって思ってるのは、占い師さんじゃなくて。
 私の手相なんですけど。

 ほら、此処に鉛筆の芯が」
と真昼は自分に向かい、手のひらを突き出してみせる。

「私、手のひらに鉛筆の芯が埋まってるんです、小学校のときから。

 これで手相変わってるんじゃないかなって思うんですけどねー。

 抜いたり、消えたりしたら、また、占いの内容、変わるのかな、と思って」

 なんだろう。
 此処だけ、平和に時が流れてる……。

 俺の頭の中は、妻の浮気を疑って、サスペンス的展開になっているというのに。