千紘さんのありがた~いお話

 ひーっ、どうしたのですかっ、と思いながら、真昼は身を固くして、まだ寝たフリをしていた。

 よく考えたら、寝たフリなどする必要はなかったのだが、なんとなく……。

 千紘は、しばらく真昼の顔を眺めたあとで、
「おやすみ、真昼……」
とささやいて出て行く。

 ぱたん、と扉が閉まっても、真昼はしばらく動けなかった。

 ――な、なんですか、今のは。

 どうしたんですかっ、千紘さんっ。

 昼間とは別人ではないですかっ。

 めちゃくちゃ優しかったですよ、今の口調っ。

 何故っ?

 どうしてっ?

 今日、なにかありましたっけ?