愁子が帰ったあと、真昼は、すき焼き風な鍋の準備を始めた。
最初から大量のうどんが入っている。
味がよくしみていて、おいしそうだ、と千紘は思う。
どうでもいいが、真昼の料理は、常に酒が美味く飲めることを想定して作ってある気がするのだが……。
夏の初めとはいえ、夜はまだ少し肌寒い。
くつくつ煮える鍋のいい香りのする蒸気を浴びながらつついていると、真昼が、
「千紘さんの怒鳴り声を聞いていたら、なにやら、二人で廊下に立たされた気分になりました」
懐かしかったです、と言う。
「懐かしいってことは、前があるのか」
と言うと、
「前があるって、前科があるみたいに言わないでくださいよ……」
と真昼は生意気にも文句を言ってきた。
いや、教師からすれば、それは前科も同然だ。



