なんだか龍平が大活躍しそうな気がしたからだ。

 そして、それは予想通りだったが。
 龍平は、そのおかげで、我が校の女子たちから告白されても、すべて断っているようだった。

 何故なのか。
 単に好みの女が居なかったからなのか。

 恐ろしくて訊けない。

 そんなことを考えていると、真昼が立ち上がり、
「今日はお暇なんですか?
 お買い物とか行きませんか?」
と言ってきた。

「そうだな。
 ちょっと遠くまで出かけるか」

「お買い物して、足湯にでも行きましょうよ。
 山を越えたスーパーの近くにあるの、発見したんです」
と真昼は笑う。

 ……なんとかしなければ。
 真昼が飛び立っていってしまう前に。

 だが、恋愛に(うと)い俺の勇気は、あの見合いの日に振り絞ってしまった。

 おもいっきり間違った方向に向かって――。