「結婚、結婚と周囲がうるさいので、とりあえず、貴方と結婚して時間を稼いでいる間に、素敵な旦那様を見つけることができました。

 ありがとうございますっ」
と妄想の中で真昼が腕を組んでいるのは、やはり、龍平だった。

 今もテレビの部屋の隅には、龍平に借りた漫画が積んである。

 まあ、俺も一緒に読んではいるんだが……。

 あれから二ヶ月。

 少しは町にも馴染んできて、同僚の先生も家に遊びに来るようになったが、真昼と一番仲がいいのは、やはり、龍平のようだった。

 趣味と話が合うようなのだ。

 合同の体育祭もつつがなく終わり、龍平がこっちの学校に来ることは今はないのだが、なにせ、狭い町なので、よく出会う。

 そのわりに、真昼と居るときに出会わないのは、自分が真昼と町中を歩かないからだろうな、と思っていた。

 二人で出かけるときは、いつも山を越えて、違う街に行くからだ。

 そういえば、真昼が、
「体育祭にお弁当持っていきましょうか」
と言ってきたのだが、もちろん、断った。

「何処の先生の父兄が弁当持ってくるんだ」
と言って。