千紘さんのありがた~いお話

「あ、この本面白そうじゃないですか」
と手に取ると、

「それは妖怪が出てくるから、余計寝られなくなるかと思って薦めなかったんだが、面白いぞ。

 ああ、お前はホラー好きだったか」
と言われた。

「いえ、別に。
 特に好きってわけじゃ。

 なんのジャンルでも読むってだけで」

 そう言いながら、本をぺら、と捲る。

「妖怪といえば、私、小学校の頃、こう、立てかけてあって、表紙が見えるように置いてある絵本ってあるじゃないですか。

 図書室とかで。

 絵が怖かったので借りなかったんですけど。

 妙に気になる絵本があって。

 『妖怪 にろおんな』ってなんだろな、と思って見てたんですが。

 『二口女 ふたくちおんな』でした」

「寝ろ」
と言われたので、寝ることにした。

 酒の効果もあって、本当にすぐに眠れた――。