千紘さんのありがた~いお話

「俺の行きたいところに行っても、お前は楽しくないと思うが」
と言ったが、

「でも、私の行きたいところも千紘さんには楽しくなかったはずですよ」
と真昼は言ってくる。

 いやいや。
 楽しかったが。

 ああいう店に居るのはちょっと恥ずかしかったが、いろいろ着替えるお前が見られて。

 そう思いながら、
「そんなこともないが。
 じゃあ、ちょっと釣り道具とか見てもいいか?」
と言うと、

「釣りがお好きなんですか?」
と訊かれる。

「……本当に読んでないんだな、釣書っていうか、身上書」
と言うと、

「すぐに話が決まったので、おばさん、結局、見せてくれないままでした」
と言ったあとで、真昼は不安になったように、

「あのー、私の釣書、おばさんが勝手に書いたんですよね?
 なんて書いてあったんですか?」
と訊いてくるので、黙ると、

「なんて書いてあったんですか?
 そして、どんな写真だったんですかっ?」
と突っ込んで訊いてくる。