千紘さんのありがた~いお話

 わかった、わかった。

 わかりましたよ……と思いながらも、

「でも、あの、私にだって結婚にはいろいろと夢が……」
と言いかけた真昼に、

「どんな夢だ」
と明らかな教師口調で、千紘は言ってくる。

「どんな夢だ。
 全部叶えてやるから言ってみろ」

 いやあの……。

 言ってみろとか、そんな味もそっけもない口調で言われても。

 そうじゃなくてですね。

 そういうのじゃなくてですね、と真昼が思っている間に、峰子が千紘を両親や祖母に紹介し。

 教員の父親と千紘で話が盛り上がり、気に入られ、なんだかわからないが、勝手に結婚話は進んでいた。

 ちょうど、仕事がシャレにならいくらい忙しくなり、睡眠不足でボロボロになったせいか、冷静な判断能力を失って。

 ……で、今、此処に居るわけだ。

「ちょっと、あんた、見合いに行ってきてくれない?」
と峰子に言われてから今まで、怒濤の展開で、未だに、ついていけてない。