柊 冬夜


柊君。


とってもイケメン(らしい)で、女の子を毎日はべらせているというような軽いタイプではない(らしい)が、彼のことを好きな女子は結構いる(らしい)。


彼の認識は、そんなものだった。


自分が知っていることなんてたいしてなかった。


強いて言うなら、なんだか少し、ほんの少し、違和感を彼に感じる、ってこと。


…これは知っていることと言えるのかな?


なにが、なんて分からない。


だけど、何か、彼の何かが、不思議で、不自然だった。


同じクラスの彼とは、私と接点なんてまるでなかった。


そこまで興味も、なかった。


あぁ、モテるんだなぁ〜。なんて、そんな曖昧な認識。


…だけど、あの日。


『なに読んでるの?』


どういう訳か、彼に話しかけられた。


ニコニコ、と笑う彼に、笑顔で返しながら、やっぱり違和感を覚えた。


なんか、違う。って、そんな、曖昧なことを思った。


…知りたいって、思った。


あの日から、しばらくの間、なぜか彼は、よく私に絡んでくるようになった。


最初は、正直よく分からなくて。