「今回の報酬は、これでいいから」


そう言う智樹の顔は赤く染まり、呼吸が荒くなっている。


あたしは手の甲で唇を拭いて後ずさりをした。


これから先智樹を利用すれば、今みたいな報酬を何度も支払うことになるんだろうか?


そう考えると全身に鳥肌が立った。


「今回は千恵美を喜ばせるだけだったじゃん。失敗してるでしょ!」


あたしが怒鳴っても、智樹は全く聞いていない。


あたしとキスできたのが相当嬉しいのか、上の空だ。


あたしは強く爪を噛みしめて「今度は全く知らない男を使って。二人がかりで千恵美を襲わせて」と、早口に言った。


「あぁ、いいよ」


智樹はなんでもないようにコクンと頷く。


「あたしも、最後までちゃんと確認したいから、実行するときは連絡して」


あたしは智樹に吐き捨てるようにそう言うと、A組へ戻ったのだった。