好きな人から好かれてもいないのに、体だけ求められた千恵美。


それでも喜ぶなんてどうかしてる。


あたしは教室内での千恵美の様子を思い出して強く身震いをした。


智樹の言っている通り、千恵美は少しも傷ついている様子はなかった。


こうなってくると、どうやって千恵美を追い込めばいいか再度考え直す必要があった。


「どうにかしてよ! 千恵美が二度と学校へ来なくなるように!」


イライラから、八つ当たりするようにあたしが怒鳴った。


すると智樹は「いくらでも協力するよ」と、ほほ笑む。


「でも、その前に……」


智樹があたしの腕を掴み、顔を覗き込んで来た。


「なに?」


「今回の報酬はもらわないと」


「報酬……?」


智樹はほほ笑んだまま、あたしの耳に顔を近づけた。


「キスでいいよ?」