もしかしたら武は千恵美に呼び出されて、早めに登校したのかもしれない。


武の写真すべてに映りこんでいた千恵美のことだ、あたしを出し抜くためになんでもやりそうだった。


だとすれば、こんなところでボヤボヤしている場合ではない。


「ありがとうございます。学校に行ってみますね」


あたしは武のお母さんへ向けてお辞儀をすると、すぐにきびすを返して歩き出したのだった。