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その光景を見てしまったあたしはすぐに自室のベッドにもぐり込んで、頭まで布団を被っていた。


心臓は早鐘のように打っていて、藁人形が脳裏にこびりついて離れない。


父親はドアに背を向けていたから顔まで確認できなかったけれど、あれは今まであたしが見たことのない父親の姿だった。


大学生のお姉さんはあたしと仲がいいこともあって、何度か家に遊びに来たことがあり、父親とも顔見知りだ。


写真を舌で舐め上げていた姿を思い出すと、全身に寒気が走った。


布団の中で自分の体抱きしめて左右に首を振り、こびりついた光景を振り払う。


父親はお姉さんのことが好きなのかもしれない。


でも、それとは裏腹に藁人形なんて持っていたし……。


あたしは父親の心情を想像することができなかったのだった。