卑劣恋愛

「そんなの信じない……!」


あたしは駄々っ子のように左右に首を振って武の言葉を否定した。


相手のことが好きなら、どんな手を使ってでも手に入れたくなるはずだ。


それがたとえ犯罪でも、生死にかかわることでも。


「お前は可愛そうな女だよ」


武がそう呟いた時、あたしの視界に金槌が見えた。


武の気持ちがどうしてのこちらへ向かないのなら、今ここで殺してしまってもいいかもしれない。


食料が尽きる前にあたしの手ですべてを終わらせるのだ。


あたしはゴクリと唾を飲み込み、右手を伸ばしてそっと金槌を握りしめた。


武はあたしのベッドの上に座り、ペットボトルのお茶を飲み始めている。


あたしは上半身を起こしてジッと武を見つめた。


完全には怪我が治っていなくて、まだところどころ腫れた顔。


そんな顔でも、あたしは武のことが大好きなど宣言できた。