どうやら千恵美の母親は相当な常識人間みたいだ。


千恵美の親とは思えない性格をしている。


そこであたしはただれてしまった自分の手を見せることにした。


「これ、千恵美のせいで怪我をしたんです」


そう言うと、千恵美の母親は目に見えて動揺した。


目を丸くしてあたしから離れる。


「そんな……。なにがあったのか知りませんが、ちゃんと本人から話を聞くまで待ってください」


「この部屋を開けてくれれば、大事にはしませんけど?」


「でも……」


「できないのなら、いますぐ千恵美を傷害罪で訴えます」


強い口調で言うと、千恵美の母親は押し黙ってしまった。


「そんなの、証拠もないのに……」


「証拠ならあります。最近千恵美宛てに荷物が届いたはずです」


「荷物……」


千恵美の母親の怪訝そうな表情が、徐々に青ざめて行くのを見た。