「羨ましい？」


上目づかいでそう聞かれて、あたしはそっぽを向いた。


元々はあたしが考えたアイデアだ。


「千恵美は智樹のことが好きなんだよね？」


「そうだよ、今更なに？」


千恵美はそう言い、箸でミートボールをつまんであたしの口に入れた。


警戒しながら粗食して見ると、食べ馴れた味が口いっぱいに広がって行く。


ゴクリと飲み込んでみたら、思い出したように食欲がわき始めた。


「智樹を自由にきでたなら、もうあたしを解放してもいいハズだよね？」


千恵美の狙いは智樹1人だ。


あたしライバルかもしれないが、もう関係ない。


「それはそうなんだけどねぇ」


千恵美はう～んと、考え込む素振りを見せて、ニヤリと笑った。


「そんなにすぐに解放したら、つまんないよね？」


「は……？」


「ほら、サンドイッチも食べて？　自身作だから」


千恵美は嫌がるあたしの口に無理矢理ハムサンドを押し込んだ。