「智樹も役立たずだし」


スタンガンで眠らされた時に助けに来てくれたけれど、実質智樹はあたしを裏切ったことになるのだ。


武1人を拘束するならともかく、あたしまで拘束するなんて信じられない。


揚句、あたしの目の前で武に散々暴行を加えたのだ。


武の顔面は見れないほど腫れ上がっていた。


思い出すと胸がチクリと痛かった。


好きな人のあんな姿、誰でも見たくないはずだ。


そんなことを考えていると、外がどんどん暗くなっていくのを感じた。


小屋に唯一1つだけある窓の外はもう暗闇に包まれているようだ。


小屋の電気をつけるために体を這わせて壁際まで移動してみたけれど、ブレーカーが落とされているのだろう、電気のスイッチを押してみても反応しなかった。


小屋から明かりが漏れていたら不審に感じる人がいるからだろう。


千恵美のくせに、意外と用意周到だったみたいだ。


あたしは舌打ちをして窓の外を見つめた。