近藤先輩に言われて、あたしは一番重要なことを思い出して青ざめた。


そうだ、お弁当!


結局、あれで決定? あたしがお弁当を作ることに決まっちゃったってこと?


ど、どうしよう! こんな騒ぎになった後で、今さら辞退しに引き返せない。


ましてや料理ができないなんて、とても言えない。


ああぁ〜困った! 本当に本当に困った!


「じゃあ、その件について詳しいことはまた連絡するから。待ってろ」


「は、い……」


こっちの事情を置き去りにして、話はどんどん進んでいく。


エレベーターの扉が開き、あたしはトボトボと中に入った。


力なくうなだれていると、近藤先輩が話しかけてくる。


「綺麗だったと思うぞ」


「え?」


ふと顔を上げたら、近藤先輩がじっとあたしを見ている。


その、どこか優しさを感じる柔らかい表情に胸がさざめいて、見入ってしまった。


「お前が一生懸命に降らせた紙吹雪、きっと綺麗だったと思う。それこそ夜空の星にも負けないくらいキラキラしてたはずだ」


思いがけない言葉に、あたしの心が震えた。


無意識のうちに深い部分に押し込めていた、あの切ない記憶にサッと光が差す。


それこそ、キラキラの瞬きで彩られたみたいに。