期間限定『ウソ恋ごっこ』

それに揉まれたわけじゃなくて、掴まれただけ!


あたしは慌てて真央ちゃんの口を手で押さえて、周りのクラスメイトたちの様子をうかがった。


「あ、ごめん。……でも美空、ずいぶんショックだったでしょ? 大丈夫?」


「もう大ショックだよ。大勢の人の目の前ですごい恥ずかしかった」


涙目で訴えるあたしに、真央ちゃんが深い同情の目を向ける。


「可哀そうに。先輩もわざとじゃないんだろうけど、ひどいよね。ちゃんと美空に謝ってくれたの?」


「ううん」


「なにそれ! アクシデントとはいえ、乙女の胸にタッチしておいて謝罪のひと言もないの!?」


「だから声が大きいってば! そうじゃなくて、あたしが逃げ出したから……」


説明しようとしたら、急に教室の空気がドヨめきだした。


どうしたんだろうと思って顔を上げたら、クラスのみんなが揃ってドアの方に注目している。


つられて同じ方を見たあたしは、とんでもないものを発見して全身が硬直した。