期間限定『ウソ恋ごっこ』

「で、でも」


伊勢谷先輩は、あたしを嫌っているんじゃないの?


そんな口に出せない疑問が顔に現れていたのか、先輩が答えた。


「言う通りにしてくれたら、彬ともこれまでみたいに付き合うよ。キミが俺のものになったのを見せつけられたら、少しは余裕を持って彬と接することができると思うから」


「そんな!」


あまりに過酷な交換条件に愕然とした。つまり、近藤先輩への復讐のため? 近藤先輩を苦しめるのが目的なの?


いくら仲違いしたとはいえ、あんなに近藤先輩と信頼し合っていたのに。 


「ひどい……」


「ひどい? そもそも最初にひどいことしたのはどっち?」


それを言われたら、あたしはなにも言い返せない。


人が人を想うってとても素晴らしいことだけど、想いが強ければ強いほど、破綻した反動が大きいんだ。


もう、戻らないの? 狂った歯車は、どんなことをしても元通りにはならないの?


「なにを考えているの? キミが選ぶべき答えなんてひとつしかないでしょ?」


先輩がアームチェアから立ち上がり、こちらへ向かってきた。


思い詰めたその表情に、また軽く寒気を覚える。