期間限定『ウソ恋ごっこ』

あたしが、料理がぜんぜんできなかったこと。あたしを推薦した近藤先輩が責任を感じて、料理レッスンをしてくれているうちに、惹かれ合ったこと。


期間限定のウソ恋ごっこのことも、期間が過ぎて恋人ごっこが終わったことも。


「近藤先輩は、あたしの気持ちを受け入れたことは一度もありませんでした。あたしよりも伊勢谷先輩との友情を選ぶって、はっきり言ったんです」


夢中でしゃべっているうちに、目に涙がにじんできた。あの日、あたしの家の前で別れたときの深い悲しみがよみがえってくる。


あの悲しみを、苦しみをムダにはできない。しちゃいけない。


近藤先輩が、誰よりも伊勢谷先輩のことを大切に思っているという事実を伝えなきゃ。


「あたしたちは伊勢谷先輩を裏切るつもりはなかったんです。裏切りたくなかったから、ウソ恋ごっこを始めて、終わらせたんです」


あたしが涙声でしゃべり続ける間、伊勢谷先輩は無言であたしを見つめていた。


これでわかってくれたろうか?


ほんの少しでも、気持ちが伝わっただろうか?


祈るような思いで見つめるあたしの目の前で、先輩がゆっくりと口を開いた。