期間限定『ウソ恋ごっこ』

「美空は伊勢谷先輩の家の場所、知ってるの?」


「ううん。知らないの。それでどうしようかと思って……」


この個人情報保護の時代、先生に聞いても教えてもらえないだろう。


もしかしたら伊勢谷SP軍団なら知ってるかもしれないけど、あたしには絶対に教えてくれないだろうし。


「あたしに任せて! ちょっとここで待っててね!」


真央ちゃんは自信満々にそう言って、あたしにカバンを預けていきなり駆けだした。あたしは呆気にとられて、その後ろ姿に声をかける。


「真央ちゃん!? どこ行くのー!?」


「いいから待っててー!」


スカートの裾をひるがえして真央ちゃんは遠ざかって行く。小さくなっていく姿を、あたしはポカンと眺めていた。


……なにをするつもりなんだろう? よくわかんないけど、とりあえず待っていることしかできないや。


涙でびしょ濡れになった頬を拭いて気持ちを落ち着かせていたら、ここで近藤先輩と初めて会ったときのことをいろいろ思い出した。


先輩に口をふさがれたときの手の感触や、抱きしめられたときの温かさ。コロンの素敵な香りや、顔立ちの美しさに見惚れたこと。