期間限定『ウソ恋ごっこ』

「ふうん? この近くなの?」


親友の厚意を無にするようなことをして落ち込んでいたら、意外にも真央ちゃんが話に乗ってきた。黙っているのも変なので、とりあえず答える。


「このちょっと向こうへ行った小径。そこに先輩が隠れていたの」


「へえ? 隠れられるような所があるんだ?」


「うん。しつこいファンの子たちから逃げるときに使ってたみたい」


「どこ? 見てみたい」


「……行ってみる?」


「うん」


あたしたちは飲んでいた缶ジュースをゴミ箱に入れて、あの小径へ移動した。


校舎の壁に沿って植えられている木々の葉が、あのときよりもさらに成長して濃い繫みを作っている。


石畳で舗装された道を歩きながら角を曲がった所で、数十メートル前方に見えた人影に足が止まった。


見覚えのあるその姿に、あたしの心臓は猛スピードでバクバクと動き出し、体温がカーッと急上昇する。


「あれ? もしかしてあそこにいるのって近藤先輩じゃない?」


真央ちゃんが言う通り、あれは近藤先輩だ。


あの場所、ちょうど近藤先輩と初めて出会ったまさに同じ所に、近藤先輩が立っている。