期間限定『ウソ恋ごっこ』

そう言われても、簡単に『あら、そうですか』って納得できるもんじゃない。


だって好きな人の首筋から真っ赤な血が出てるんだもの!


半ベソをかいて近藤先輩の腕にしがみついていると、真央ちゃんが近寄ってきて、先輩の傷の様子を見てくれた。


「うん。ちょっと傷がえぐれてるけど、命にかかわるケガじゃないよ。大丈夫」


「本当に⁉︎ 本当に大丈夫⁉︎ 先輩、死んだりしない⁉︎」


「この程度のケガで人が死んでたら、人類は今頃絶滅してるって。近藤先輩、どう? そんなに痛くないでしょ?」


「立派に痛えよ」


「じゃあ保健室に行って手当してもらいなよ」


「いや。騒ぎにしたくない」


ふたりの自然な会話と、近藤先輩の淡々とした様子から、やっと本当に命に別状はないんだと理解できた。


安心したらなんだか体中から力が抜けて、自分の体を支えられなくなって、おじぎ草みたいにクタリと床に崩れてしまった。


「こ、腰、腰が抜けた……」


「俺よりお前が保健室に行った方がよさそうだな」


近藤先輩の呆れ声が逆にホッとさせてくれる。あたしは床にへたり込んだまま、お腹の底の底から大きな安堵(あんど)の息を吐いた。


よかったあぁぁー! 本当に、本当によかったあぁぁー!


「先輩、死んじゃうかと思った。死んじゃうかと思ったんだよぉ……」


まだ動揺が治まらなくて、小刻みに震えてるあたしの背中を、真央ちゃんがポンポンしてくれる。気がつけば背中は汗でビッショリ濡れていた。


「折原。おい折原、聞こえてるか? 俺は大丈夫だから」


近藤先輩のその声にカッとなったあたしは、勢いよく上体を起こした。大丈夫⁉︎ 大丈夫ってなにがよ⁉︎