期間限定『ウソ恋ごっこ』

先輩が助けてくれなかったら、いまごろ制限時間オーバーでアウトになってた。


折原先輩にやられっぱなしのまま反撃することもできずに、悔し涙を飲んでいたはずだ。


約束通り、先輩はあたしを守ってくれた。やっぱりあたしたちはまだ繋がっているんだ……!


「それじゃ、次は愛美のお弁当を食べさせてもらおうかな」


「ええ! もちろんどうぞ!」


あたしたちの騒ぎをおもしろくなさそうに見ていた折原先輩が、目をキラキラさせて重箱弁当を差し出した。蓋を開けた伊勢谷先輩が喜びの声を上げる。


「うわあ、豪華だね。しかもこれ、俺の好物ばかりだ」


「うふふ。遠慮なく召し上がれ」


「いただきます」


伊勢谷先輩が上機嫌で食べている横で、折原先輩が笑顔のお手本みたいな顔で笑っている。


そしてあたしにチラッと視線を投げて、勝利を確信した薄笑いを見せた。


でもあたしは勝敗はどうでもいいんだ。最初から勝つ見込みなんてなかったもん。


折原先輩に一矢報(いっしむく)いたかっただけだし、近藤先輩とのレッスンの日々がムダにならなかったんだから、もうこれで満足だ。


「ああ、どれもこれも美味しい。文句のつけようもないよ」


味見を終えた伊勢谷先輩が満足そうに箸を置いて、折原先輩は自信満々に胸を張った。