「チビ、卵を割れ。時間がないから急げ」
「は、はい」
あたしはボウルに卵を割り入れ、シャカシャカと箸で溶いた。卵を割るコツは、忘れもしない『こっつんこ』だ。
それにしてもこの卵、めっちゃ黄身が盛り上がってて弾力がすごい。こんなプルンプルンしてる卵は初めて見た。
「ちょっと待ちなさいよ!」
折原先輩の不満そうな声が聞こえて、あたしの手が止まった。
もうすっかり重箱に料理を詰め終えた折原先輩が、ムッとした顔でこっちを見ている。
「なんで近藤君が手伝ってるの? それは反則でしょ! 佐伯さん、あなた卑怯よ!」
それをアンタが言いますか!?
って言葉がノドから出かかったけれど、代わりに近藤先輩がビシッと切り返してくれた。
「チビは食材を『誰か』に盗まれたせいで、圧倒的に不利なんだよ。俺がサポートしても足りないくらいだ。お前は優位な立場なんだから黙っとけ」
『誰か』という単語をわざと強調して、『俺は知ってるぞ』感を出して威圧してる。
後ろ暗いところがある折原先輩は言い返すことができず、むっつりと黙り込んでしまった。
「チビ、フライパンを火にかけてバターをたっぷり溶かせ。焦がさないようにフライパンの底を火から少し浮かせろ」
「はい。これくらいですね? 火加減は?」
「少し強めの中火。溶けた泡が細かくなってきたら、完全にバターが溶け切らなくても卵液を入れるんだ」
「は、はい」
あたしはボウルに卵を割り入れ、シャカシャカと箸で溶いた。卵を割るコツは、忘れもしない『こっつんこ』だ。
それにしてもこの卵、めっちゃ黄身が盛り上がってて弾力がすごい。こんなプルンプルンしてる卵は初めて見た。
「ちょっと待ちなさいよ!」
折原先輩の不満そうな声が聞こえて、あたしの手が止まった。
もうすっかり重箱に料理を詰め終えた折原先輩が、ムッとした顔でこっちを見ている。
「なんで近藤君が手伝ってるの? それは反則でしょ! 佐伯さん、あなた卑怯よ!」
それをアンタが言いますか!?
って言葉がノドから出かかったけれど、代わりに近藤先輩がビシッと切り返してくれた。
「チビは食材を『誰か』に盗まれたせいで、圧倒的に不利なんだよ。俺がサポートしても足りないくらいだ。お前は優位な立場なんだから黙っとけ」
『誰か』という単語をわざと強調して、『俺は知ってるぞ』感を出して威圧してる。
後ろ暗いところがある折原先輩は言い返すことができず、むっつりと黙り込んでしまった。
「チビ、フライパンを火にかけてバターをたっぷり溶かせ。焦がさないようにフライパンの底を火から少し浮かせろ」
「はい。これくらいですね? 火加減は?」
「少し強めの中火。溶けた泡が細かくなってきたら、完全にバターが溶け切らなくても卵液を入れるんだ」


