期間限定『ウソ恋ごっこ』

「あ、美空ちゃん!」


フラフラと近藤先輩の方へ歩き出しかけていたあたしは、伊勢谷先輩の声で我に返った。


いけない。あたし、なにするつもりだったんだろう。


まさか伊勢谷先輩の目の前で、近藤先輩に駆け寄るつもりだったの?


「待ってたよ。俺ね、今日は美空ちゃんの手料理が食べられると思って、すごく楽しみにしてたんだ!」


うれしそうに近寄ってくる伊勢谷先輩の笑顔に、罪悪感で胸がズキンと痛んだ。あたしからの好意を純粋に信じきっているこの笑顔に、どう反応すればいいのかわからない。


伊勢谷先輩の後ろから近藤先輩がこっちに近づいてくるのが見えて、なおさら心が潰れそうになる。