「…………」


ひとりぼっちのあたしは、ぼんやりと夜空を見上げた。


チカチカと揺らぐ星の明かりが、あっという間に霞んで見える。


両目が燃えるように熱くなって、鼻の奥がジュンと詰まった。頬を伝って次々と流れ落ちる涙が、顎からポタポタと落ちていく。


こんなに悲しい涙を流しているのに、ふたりで過ごした楽しい記憶がフラッシュバックする。先輩のきれいな笑顔や、凛とした立ち姿のすべてが、キラキラ輝いている。


あたしの頭上で光っている、あの星みたいに。


夜空に手を伸ばしてみたけれど、星にこの手が届くはずもない。


手のひらは虚しく空を切り、耳には好きな人の声が幻みたいに響く。


『さようなら』


それが、大好きな人から与えられた最後の言葉。


本当に終わったんだ。


あたしは失ってしまった。


もう二度と手に入らない奇跡を永遠に失ってしまった。


どんなに泣いても……どんなに叫んでも、どんなに悔いても、なにがあっても、どうあっても、もう彼は戻らない。


あたしの元へは、絶対に絶対に戻らない!