先輩に背中を押されて、あたしは渋々キッチンに立った。
まな板の上にキュウリを乗せ、恐る恐る包丁の柄を握って持ち上げてみると、なんだか自分が犯罪者にでもなった気がしてくる。
「これって、その気になったら人を殺せるよね……」
「頼むからその気にならないでくれ。その場合の被害者は間違いなく俺だから」
「うん。よくわかってる」
しばらくドキドキと包丁を眺めてから、ついに覚悟を決めたあたしは神妙にキュウリと向き合った。
「……ねえ、彬」
「なんだ?」
「あたしの背中にくっつくの、やめてもらえない?」
先輩ったら、さっきからあたしの背中に背後霊みたいにビッタリ密着してる。
あたし以上の緊張感が後方からビシバシ伝わってきて、やりにくいったらない。
「俺の存在は気にするな。目の前のキュウリにだけ集中するんだ」
「無理」
後ろにくっつかれてるだけでも気が散るのに、いかにも横から手を出したそうな先輩の指がワキワキ動いてるのが見えるんだもん。
まな板の上にキュウリを乗せ、恐る恐る包丁の柄を握って持ち上げてみると、なんだか自分が犯罪者にでもなった気がしてくる。
「これって、その気になったら人を殺せるよね……」
「頼むからその気にならないでくれ。その場合の被害者は間違いなく俺だから」
「うん。よくわかってる」
しばらくドキドキと包丁を眺めてから、ついに覚悟を決めたあたしは神妙にキュウリと向き合った。
「……ねえ、彬」
「なんだ?」
「あたしの背中にくっつくの、やめてもらえない?」
先輩ったら、さっきからあたしの背中に背後霊みたいにビッタリ密着してる。
あたし以上の緊張感が後方からビシバシ伝わってきて、やりにくいったらない。
「俺の存在は気にするな。目の前のキュウリにだけ集中するんだ」
「無理」
後ろにくっつかれてるだけでも気が散るのに、いかにも横から手を出したそうな先輩の指がワキワキ動いてるのが見えるんだもん。


