期間限定『ウソ恋ごっこ』

実は、いまだにあたしは包丁が怖くて使えない。


レンジやオーブンなんかの文明の利器の力を借りて、そこそこ食べられるものは作れるようになったけど、包丁だけはどうしてもダメ。


このままなんとか逃げ切りたいんだけど、だめ?


上目遣いに見上げるあたしの懇願を見抜いて、先輩はあっさり却下した。


「甘い。この先一生、包丁を使わないわけにはいかないだろ」


「でも本当に怖いんだってば」


「やってみたら案外簡単だって思うかもしれないだろ。人生はなにごとも挑戦だ。ほらほら」