期間限定『ウソ恋ごっこ』

キッチンに着くと、いつも通りテーブルの上に今日の食材が並べて置いてある。


それを眺めて、あたしは小首を傾げた。今日はいつもより食材の種類も量も、とても乏しかったからだ。


「ねえ、彬。レタスとトマトとキュウリしか見当たらないんだけど」


今日の夕飯はサラダだけ? もしかして冷蔵庫カラッポなのかな?


なら、これからふたり一緒にスーパーに行って、買い物デートするってのも楽しいかも!


……って、そんなわけにいかないか。残念だけど『恋人ごっこ』はこの家の中だけの約束だもんね。


心の中で勝手に浮かれたり沈んだりしているあたしの様子を見ながら、先輩が意味深に笑った。


「これだけでいいんだ。今日は記念日になるからな」


「記念日? なんの?」


「美空が生まれて初めて包丁を使った記念日だよ」


「うええぇーっ!?」