期間限定『ウソ恋ごっこ』

「ほら、呼んでみろよ。彬って」


「じゃ、じゃあ……彬……」


蚊の鳴くような声で呼ぶと、すかさず先輩が甘い声で応えた。


「なんだ? 美空」


頭からボボッと噴火したかと思った。


は、恥ずかしいー! これメチャメチャ恥ずかしい! 新婚さんかよ!


好きな男の子から名前で呼ばれるのって憧れてたけど、まさかこんなに恥ずかしいものだとは知らなかった!


「あ、あの、恥ずかしくて息が止まりそうです。やっぱり先輩って呼んじゃだめですか?」


先輩の胸に強く顔を押し付けながら訴えると、不満そうな声が聞こえる。


「なんだよ。うれしくないのか?」


「もちろんうれしいです! でも、うれしさ30パーセント恥ずかしさ80パーセントって感じで」


「おい、サラッと100越えてるぞ?」


「それくらい恥ずかしいんですってば!」


先輩は笑って、ますますあたしを強く抱きしめた。


「俺はお前を名前で呼べるなんて、うれしさ1億パーセントだけどな」


背中に感じる力強さに胸がキュンキュンと騒いで、自然と頬が緩んだ。


もう。そんなこと言われると、顔中の筋肉がとろけそうになるよ……。