期間限定『ウソ恋ごっこ』

ドキドキ跳ね上がる心に先輩の切ない声がスーッと染みた。あたしも先輩の背中に両腕を回して、精いっぱいの力で抱きしめる。


あたしも同じ気持ちだよって伝えるために。


「先輩……」


「名前で呼べよ。恋人なんだろ?」


先輩の胸にうずめた顔にポッと熱がこもった。


な、名前で呼べ? それはつまり呼び捨てにしろってこと?


「そ、それは無理です。いきなりハードルが高すぎます」


「なんのハードルだよ。ウソでも俺たちは今から恋人同士なんだろ?」


「それは、そうなんですけど」


「敬語も禁止。ここにいる間は俺とタメ口で話せ。俺はお前と恋人らしい雰囲気を味わいたいんだ」


そ、そうだよね。それはもちろんあたしも。


普通なら時間をかけて下の名前を呼び合うようになったり、タメ口になるんだろうけど、あたしたちにはその時間がないことだし、のんびりしてられないよね。