期間限定『ウソ恋ごっこ』

あたしも同じこと感じてる。伊勢谷先輩に夢中だったはずのあたしの心を、あなたはひっくり返してしまった。


それに今までのあたしだったら、生徒会室で拒否られた時点で、たぶん泣く泣く引っ込んでいたと思う。


でも結局は諦めきれずに、こんなふうにすがりついている。


我ながら未練がましいと思うけど、それでも自分を止められなかったの。


近藤先輩、あなたはあたしにとって、なんなのだろう。


「もう一度確認する。これは遊びで、ウソだな?」


また真面目な顔になって念を押す先輩に、あたしは何度もうなずく。


「はい。これは『ウソの恋人ごっこ』です。この家の中でだけ通用する、期間限定の遊びです」


そしてゴクンと息をのみ、わずかばかりの痛みを感じながら口にした。


「これは決して本当の恋じゃありません」


「そうだ。その通りだ。それをお互いに納得したなら……」


「したなら?」


「今から、思いきり幸せなウソをつこう」


言い終わると同時に近藤先輩に抱きしめられて、一瞬頭が真っ白になった。


心臓から熱い血がカーッと全身を駆け巡って、沸騰しそうになる。


「ウソの恋人ごっこでも、こんなふうにお前を抱きしめることができてうれしいよ」