期間限定『ウソ恋ごっこ』

さっきも『両想い』とか『彼女』とかって言葉を聞いたけれど、ぜんぜん現実味がない。


こうして近藤先輩の口からはっきり聞かされても、とまどうばかりだ。


なにかの間違いじゃないの?


「あの、本当に伊勢谷先輩が、あたしを……」


好きなんですか?って言葉がどうしても出てこなくて、途中で声が途切れる。


でも先輩はすぐに察して答えてくれた。


「ああ、そうだ。まだお前に伝えてはいないようだけれど、司の気持ちはとっくに決まっているんだ」


断言されて心臓がズキンと重い音を立てた。


やっぱりあたしの聞き違いでも、思い違いでもなかったんだ。


人から好かれることは嬉しいはずなのに、しかも相手は伊勢谷先輩なのに、喜べない。


喜べないどころか悲しみさえ感じる。


近藤先輩の唇が微笑んでいるのをみて、ますます苦しくなった。


先輩は……なんとも思わないんですか?


「お前が司を好きってことは、司本人はもちろん学園中に知れ渡っているんだし、事実上のカップル成立ってことだよ。想いが叶ってよかったな」


たしかにあたしは入学したときから伊勢谷先輩が大好きで、そのことを周りにも伊勢谷先輩本人の前でも、堂々と公言してきた。


その上で伊勢谷先輩があたしを好きだと言うのなら、あたしたちは両想いって理屈が成立するのかもしれない。


だけど……だけど、『違う、そうじゃない!』ってあたしの心が叫んでる。


近藤先輩からこうして祝福されることが苦しい。


他の誰でもなく近藤先輩に言われるのが、こんなにつらいんだ。