期間限定『ウソ恋ごっこ』

「こっちこそ驚きました。いつもは冷静沈着な近藤先輩が、こんなふうに物に当たり散らしているなんて」


背の高い先輩を見上げると、黒い瞳があたしをジッと見降ろしている。


……ああ、あの目だ。見つめ合ったときの目。


瞳の奥に、引き込まれそうなほどの強い感情が揺らめいている。やっぱり、あれは気のせいじゃなかったんだ。


先輩はあたしを見つめたまま、ゆっくりと口を開いた。


「ここにずっといたってことは、俺たちの話をぜんぶ聞いていたんだろ?」


「はい。ごめんなさい。盗み聞きするつもりはなかったんですけど」


「そんなことはいい。じゃあ、司の気持ちを知ったんだな?」


「伊勢谷先輩の気持ち?」


「司の、お前への気持ちだ。あいつはお前に本気で惚れてるんだよ」


胸をドンと突かれたような鈍い痛みを感じた。