期間限定『ウソ恋ごっこ』

――ガンッ!


いきなり大きな音が聞こえて、あたしはビクッと体を震わせた。


うわ、びっくりした! 今のはなんの音?


――ガンッ! ガンッ!


大きな音は連続で聞こえてくる。しかもどんどん強く、激しくなっていく。


なにかがぶつかっているような音だけど、なにが起こっているんだろう? 気になって仕方ない。


あたしはカーテンの陰からそーっと顔を出して……そこに見えたものに驚愕した。


こちらに背を向けた近藤先輩が、大きく振りかぶった拳で、壁際のロッカーの扉を思い切り殴りつけていたからだ。


呆然と立ちすくむあたしの目の前で、先輩はますます勢いを強めて扉を殴り続ける。


固いスチール製の扉がものすごい悲鳴を上げて、今にも壊れてしまいそうだ。


せ、先輩、なにやってるの? そんなことしてたら大ケガしちゃうよ。


――ガンッ! ガンッ!


お願い、やめて。やめてったら。


――ガンッ! ガンッ!


やめて……! もう、もう……!


「もうやめてー!」


あたしは無我夢中でカーテンの陰から飛び出し、先輩の隣に駆け寄って、扉を殴りつけようとしていた拳を両手でギュッと掴んだ。