期間限定『ウソ恋ごっこ』

「……ああ。ちょっと寒気がして具合が悪いんだ」


寒気がする? もしかしてさっきの水合戦のせいかな? なんだか声に力がないようだけれど、先輩大丈夫かな?


伊勢谷先輩も心配そうだ。


「寒気? 大丈夫か?」


「たいしたことないけど、一応保健室に行ってから授業に出るよ」


「俺も一緒に保健室に行く」


「いや、大丈夫だ。それよりも俺が少し授業に遅れることを先生に伝えてくれ」


「そっか。わかった。本当に大丈夫なのか?」


「あぁ、大丈夫だ」


「じゃ、後でな」


ドアが開閉する音がして、ひとり分の足音が生徒会室から遠ざかって行く。どうやら伊勢谷先輩がエレベーターに乗ったようだ。


あたしはカーテンの陰に隠れたまま、耳を澄ませて近藤先輩の気配を窺った。


先輩もすぐに保健室へ行くだろうと思っていたのに、なぜか動く様子がない。


もしかして具合が悪くて着替えに手間取っているのかな?


どうしよう。ちょうどいい機会だし、近藤先輩を問い詰めようか。『あたしが伊勢谷先輩の彼女って、どういうことですか⁉︎』って。


でも着替えてる最中だったらどうしよう。それに、隠れて盗み聞きしてたのがバレちゃう。