「冷たぁーい!」


「うわ、俺のジョウロ、もう水がない!」


「やったぜチャンス到来! ……って、俺のもカラッポー!」


宙を飛び交う水飛沫が、明るい日差しを反射してビーズみたいにキラキラ光る。


子どもみたいに歓声を上げて、飛んだり跳ねたりしてる先輩たちはとても楽しそうだ。


あたしも楽しくて楽しくて、制服が濡れちゃうことなんか気にもならない。


……あぁ、もっとこうしていたい。ずっとこうしていたい。


近藤先輩と、伊勢谷先輩と、あたしと、三人で。


こんなくだらない遊びで、バカみたいに大笑いしたりしながら、一緒の時間を過ごしていたい。


なにかに傷ついたり、泣いたりすることもなく、ひたすら幸せな時間だけを。


声が枯れそうになるほど大声で笑いながら、あたしは、そんなことばかりをずっと考えていた。