期間限定『ウソ恋ごっこ』

ちょっと衝撃的な言葉を聞いて目を丸くしたら、先輩はヒョイと肩をすくめて言い直した。


「媚ってのは不適切な言い方だったかなぁ。でも白鳥学園に入学したその日から、毎日たくさんの生徒が俺の周りに集まってきたんだよ。もう、朝から放課後までひっきりなしに詰め寄られて大変だった」


それは簡単に想像がつく。


高校に入学した頃にはすでに有名人だった伊勢谷先輩の周りには、今と同じように大勢の人だかりができていただろう。


思うことは、皆同じ。スターとお近づきになりたい。あわよくば友人関係を結んで、自分のステータスにしたい。


女子生徒たちは、できればそこからさらに一歩進んだ関係になりたい……なんてね。


そういうことに人一倍敏感な伊勢谷先輩には、周りの思惑が透けて見えたんだろうな。