期間限定『ウソ恋ごっこ』

背後からガバッと抱きつかれ、誰かの両腕に上半身をギュッとされて、驚いたあたしは硬直しながら小さな悲鳴を上げた。


「ひゃあぁー!?」


「まさかこんな所で美空ちゃんと会えるなんて! キミも水遣り当番なの?」


「え!? 伊勢谷先輩!?」


振り返って確認しようとしたけれど、がっちりホールドされてて身動きひとつできない。でもこの声は間違いなく伊勢谷先輩だ。


ということは……あたし、伊勢谷先輩にバックハグされてるわけ!?


うわあぁ、恥ずかしいー! 緊張して体中から汗が噴き出てきたぁ!


「せ、先輩、放してください!」


「やだ」


アセアセしながらお願いしたら、すごく楽しそうな声で断られてしまった。


やだって言い方が、まるで小さい子どもがダダこねてるみたいですごく可愛いなぁ。……って、ほのぼのしてる場合じゃない!