広い背中に胸がざわめいて、無意識にまた心の中で問いかけていた。


ねえ、先輩。先輩は……。


「あの、先輩」


「なんだ?」


「…………」


「どうした?」


「牛乳、二本ありますけど、どっちですか?」


「賞味期限の短い方」


「はい」


あたしは自分の心の中を見ないふりして牛乳を取り出し、冷蔵庫の扉をしっかりと閉めた。