「俺のどこが超一流だよ。性格だって、勝手に人格者にされちゃたまんねえし。『優しいところが好きです』なんて、初対面の相手に言われたって困惑するだけだ」


先輩は冷蔵庫の扉を乱暴な手つきで開けて中を覗き込みながら、嫌な記憶を思い出すような目をした。


「それまで一度も話したこともないし、もちろん優しくした覚えもない相手なのに、思い込みで俺の人物像を作り上げて強引に押しつけてくる。それって結局は俺の上辺しか見てないってことだろ?」


「それは……」


あたしは言葉を濁した。先輩の言ってることはたしかに道理なので、反論できない。


「『あなたの中身なんか本当はどうでもいいんです』って、正面切って言われてるのと同じだ。それのどこがうれしいんだよ」


そう言い捨てて、先輩はまた乱暴に冷蔵庫の扉を閉めた。その表情は、女の子たちに取り囲まれているときの不機嫌そうな表情そのものだった。